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解決済みの質問

インボードディスクは何故なくなってしまったのでしょうか

昔のF1に良く見られたインボードディスクは何故なくなってしまったのでしょうか。
バネ下過重の軽減、冷却性の向上等々、いいコト尽くめのような気がするのですが、あえてあげれば整備性の悪さでしょうか?
しかし昔のスバル1000ではあるまいし、メカ剥き出しのF1ならばそれもデメリットとはならないと思います。
考え出すと夜も眠れません。

投稿日時 - 2004-04-21 12:23:48

QNo.836990

暇なときに回答ください

質問者が選んだベストアンサー

 クルマの設計屋で、以前レーシングカーの設計も手がけていた者です。と言っても、さすがにインボードディスクを設計した事はありませんが・・・クライアントやドライバが何かの弾みでインボードブレーキを要求してきたら・・・デザイナを降ろさせてもらうでしょう A^-^;)

 インボードブレーキは元々、御指摘のばね下軽量化や冷却設計の自由度の高さのほか、小径ホイールでも大径ロータが使える(‘70年代にF1のフロントにインボードブレーキが採用された重要な理由です)、ばね下部品の、制動反力からの開放(制動時のトルク反力の大きさはハンパではなく、この反力をばね上に持っていくと、ばね下は比較的脆弱=軽量に設計出来ます。レーシングカーのリヤや市販車にインボードブレーキが採用された最大の理由がコレです)などの理由により採用されましたが、やがて色々な理由から採用されなくなり、今日ではインボードブレーキを積極的に採用する理由がなくなりました。

1.C/Cブレーキの普及
 これはレーシングカーの話で・・・C/C(カーボン/カーボン)ブレーキは、800℃で制動力を発生させます。気温や湿度によっては、逆に冷却してはいけないほどのモノです。この為、冷却設計は以前ほどシビアなモノでは無くなり、またモーレツな摩擦力を発生出来るので、ロータ直径もそれほど敏感ではなくなりました。
 更にカーボンロータは、ジャグリング(=おてだま?)が出来るほど軽量です。キャリパは相変わらずゴツいですが、以前の鋳鉄ロータから見ますと、無きに等しいほどの重量だとは言えるでしょう。

2.フィーリング悪化
 これはレーシングカーにも市販車にも通ずる話です。
 制動力は2コのユニバーサルジョイントとシャフトを介してタイヤに伝達されるワケですが、これらは微妙なばね系を構成する事になり、ブレーキロック寸前のコントロール性を悪化させます。

3.ハーフシャフトの設計が難しい
 この話は、レーシングカーのフロントに限った事ですが・・・インボードブレーキでは、ブレーキとタイヤを駆動軸の様なハーフシャフトで連結するワケですが、コイツの設計はちょっとヤッカイです。(リヤと違いフロントのハーフシャフトでは、曲げ入力もかかると考えられます。)
 市販車では、開発過程で高度な応力解析と破壊試験を繰り返せるので出来ない事はありませんが、異常なダウンフォースとハイグリップタイヤの上に極限まで軽量化しなければならない一方で、何度も検証実験が出来るほど時間もないレーシングカーでは、絶対折れないシャフトを設計するのはかなり難しい事です。少なくともワタシにはイッパツで設計仕様を決める自信はありません。応力解析も入力測定も出来なかった‘70年代当時、よくF1なんぞに採用したものだと感心します。(‘70年のモンツァで、ロータス72のフロント右ハーフシャフトの折損による事故で死亡したヨッヘン・リントを思い出します。ロータス社の事故調査では『材質的な不適当』と発表されていますが、使用されていたと推定される材質~SCMの引抜材と思われます~から考えますと、それは考え辛いところです。仮に材質的な不適当があったとしても、根本的にかなり極限設計がなされていたと考えられます。)
 当時、モーリス・フィリップ(ロータスのデザイナ)やデレック・ガードナー(タイレルのデザイナ)はインボードブレーキを採用しましたが、一方レン・テリー(元ロータスのチーフデザイナ)は彼の著書で、ゴードン・コパック(マクラーレン)などと共に『ハーフシャフトの設計には自信が持てない』と言っていた事を記述しています。

 長くなりましたが、ついでに2点ほど。

1.結局のところF1でインボードブレーキが廃れたのは、安全性でもブレーキフィーリングでもなく、グラウンド・エフェクトで巨大な断面積のウィンドゥトンネルをモノコックとタイヤの間に通さなければならなかったからです。
 この為可能な限りスリムなモノコックやトランスミッションを作り、バネはモノコックの中かタイヤのすぐ内側に立て、ブレーキはハブ周りにコンパクトに収める必要がありました。勿論、ウィンドゥトンネルの重要な入口となっているフロントのアッパ~ロワアーム間にハーフシャフトを通す事など、誰も考えなかったでしょう。

2.スバルがff1000のフロントにインボードブレーキを使っていたのは、上記の理由ばかりでは無いと思われます。
 元々駆動輪にインボードブレーキを使っていた欧州車のマネをしたのは確かですが、スバルの場合はあの特異なジオメトリにも負うところが大きいでしょう。(スクラブ値を適正値に保ちながらキングピン傾角をゼロにする為には、ハブ周りからブレーキを追放する以外にありません。)
 

投稿日時 - 2004-04-22 03:03:36

お礼

ご回答ありがとうございます。
専門家のご回答、大変参考になりました。今は空気の流れをいかに処理するかと言うことが大切なんですね。
進化しすぎちゃって寂しくなった(人間味のなくなったというべきでしょうか)F1マシーンに合掌(-∧-;) 
僕が間違って大金持ちになったら何が何でもloftybridgeさんにインボードディスクのフォーミュラを作ってもらいたいなあ( ^▽^)
これでぐっすり眠れそうです。どうもありがとうございました。

投稿日時 - 2004-04-22 19:44:20

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回答(2)

ANo.1

まず、私は専門家でもなければ技術屋でもありません。一介の元モータースポーツファンです。ですから憶測としての意見です。F-1のみという事で、間違いもあるかもしれませんので参考程度という事でご了承願います。

F-1のインボードブレーキは1970年、ロータス72が意欲的なアイデアとして前後輪に取り入れていました(その他にもサイドラジエーター、くさび型フロントノーズなども斬新でしたが。)しかしその年のイタリアGPでトップドライバーのヨッヘン・リントがインボードディスクブレーキならでは装備の前輪のドライブシャフトの破損からの事故死を遂げ、当時は危険なアイデアとも考えられたそうです。実際の真相はその時のリント車の中空シャフトが一本だけ材質的に不適当な部品があっての事故だったそうです。彼の死後、得点を上回る選手が現れずリントが死してタイトル獲得となったのはこの方面では有名な逸話です。

しかし後輪のインボードブレーキは70年代初頭から多くのチームが使うようになるものの、前輪のほうはロータス72Dがフィッティパルディがタイトルを取るまでは中々認められなかったようです。
その後フロントにもインボードブレーキを使用するチームもいくつか出てきましたが空気の流れを悪くするなどで、ロータスをはじめ他チームも使わなくなったようですがリアのインボードブレーキは79年のウイングカーがF-1を埋め尽くすようになるまでは存在しました。

ちなみにサスペンションもアウトボードダンパーが存在しましたがやはりウイングカーの出現まで前後とも使用するチーム、フロントはインボード、リアはアウトボードのチームが入り乱れていました。

ロータスが77年、初のグランドエフェクト効果を持つウイングカー「78」を投入した際はフロントはアウトボードディスクブレーキ、インボードダンパーそしてリアはインボードディスクブレーキ、アウトボードダンパーでした。その後の改良型の「79」はサイドウイング内の空気の流れをより良くするためリアのダンパーもインボードとなり、79年に全チームがウイングカーを投入するようになると、後半頃には車体下の空気を効率よく後部に排出するため、前後輪ともブレーキディスクはアウトボード、サスペンションダンパーは前後ともインボードが常識となるまでになりました。例外もありましたが、多くは勝てないチームでした。

83年からの新レギュレーションへの変更の際ウイングカーやサイドスカートは全面禁止となり、当初アウトボードサスやインボードブレーキの復活も囁かれていましたが実際はそうはなりませんでした。廃れたと思われたスポーツカーノーズ、三角シャーシ同様実験開発したチームはあったかも知れませんが再使用される事はありませんでした。

現代のF-1も外側より内側の空気の流れをデザイン開発では重要視されると聞いた事がありますが、ウイングカーが廃止されてもその空力概念は後々も受け継がれているのが真相ではないでしょうか。昔のF-1のインボードブレーキのメリットよりそちらの方を優先されているのだと思います。

聞きかじりだらけによる推測なので違っていたら申し訳ありません。

投稿日時 - 2004-04-22 01:22:03

お礼

早速のご回答ありがとうございます。
大変勉強になりました。最近のF1はカウルに覆われちゃって今一デザインが好きではありません。あっこれは余談でしたね( ^▽^)。
これで今夜はぐっすり眠れそうです。

投稿日時 - 2004-04-22 19:29:16

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